COLUMN

コラム

AI業界への転職を目指す方へ——市場の動きと業界理解のポイント

2025.04.21

その他コラム

AI業界は、ここ数年で急速に成長を遂げており、さまざまな分野での技術応用が進んでいます。

この流れを受けて、AI業界を志望する転職希望者も増えてきました。

特に、新しい産業領域であることから、未経験からのチャレンジも可能とされており、キャリアの選択肢として注目を集めています。

本記事では、AI業界の市場動向や活用例を整理しながら、転職に向けた理解を深めていきます。

ChatGPTをはじめとした生成AIの登場により、AI業界は一層注目を集めています。
まずはその市場規模について確認してみましょう。

世界のAIビジネス市場は、2020年時点で約3,275億ドルとされ、そのうちソフトウェア領域が約88%を占めています。

IDCの調査によると、2024年には5,543億ドルに達すると見込まれており、年平均成長率(CAGR)は17.5%と高水準で推移しています
【参考|https://www.tryeting.jp/column/3022/】。

特に、生成AI分野は成長が加速しており、Nvidiaによるエンタープライズ向けのメタバース技術や、GAN(敵対的生成ネットワーク)などの導入が進んでいます。
2022年時点では、GANが生成AI市場の7割以上を占めており、画像生成や仮想空間の構築など、用途の広がりも特徴です。
【参考|https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/生成ai市場-107837】

企業のDX推進や、コロナ禍からの業務効率回復といった文脈の中でも、AI技術の活用はますます重要性を増しています。

AI技術は現在、さまざまな業界で実際に導入されており、生活やビジネスのあらゆる場面で活用されています。

以下では、代表的な活用例をいくつかご紹介します。

医療:画像診断の支援
X線やMRIなどの医療画像をAIが解析することで、病気の早期発見や診断精度の向上が図られています。

自動車:自動運転システム
周囲の環境を認識し、状況に応じて最適な運転判断を行う自動運転技術の中核を、AIが担っています。

顧客対応:チャットボットや音声認識
コールセンターやWebサイトでの問い合わせ対応にAIが活用され、24時間体制での対応が可能に。

EC・メディア:レコメンドエンジン
過去の閲覧履歴や購買傾向をもとに、ユーザーに最適な商品やコンテンツを提案する仕組みにAIが活かされています。

生活領域:スマートホーム
音声アシスタントや自動調整機能を備えた家電やデバイスの開発が進み、生活の快適性が向上しています。

製造業:生産性の向上
生産工程の最適化や、故障の予兆検知など、工場の効率化・コスト削減にもAIが活用されています。

金融:リスク管理や不正検知
AIによる取引パターンの分析により、不正利用の検出や、顧客の信用スコア算出が高度化しています。

AI技術は今や特定の業界にとどまらず、様々な業種・業態で活用が進んでいます。
ここでは、主要な業種ごとにAIの導入が進んでいる領域や特徴についてご紹介します。

広告やメディア分野では、AIが特にマーケティング分野で活用されています。
顧客データの解析や、広告配信の最適化などが代表例です。

2022年には、この分野がAI市場全体の約19.5%以上の収益を占めており、存在感の大きさがうかがえます【出典|Grand View Research】。

医療・ヘルスケア分野では、以下のような用途でAI技術が導入されています。

・手術支援ロボット
・薬剤投与エラーの防止
・バーチャルアシスタントによる患者対応
・臨床試験の被験者選定
・医療現場の業務効率化
・予備診断・画像診断の自動化 など

AIの導入が進むことで、医療の質と効率がともに向上しており、2030年までに最も市場シェアを拡大するセクターの一つと見込まれています【出典|Grand View Research】。

金融業界では、コンプライアンス対応や不正検知、リスク管理などでAIの活用が進んでいます。

行動科学と組み合わせたAIの導入により、問題発生後の対応から「予防」への転換が進んでいるのが特徴です。

特に、詐欺対策や与信判断といった分野で高い成果を挙げており、金融業界のAI導入は今後も広がりが期待されます【出典|Grand View Research】。

小売業では、顧客一人ひとりの購買行動や嗜好に合わせたマーケティングの自動化が進んでいます。
また、SNSやECサイトなど、複数のチャネルから得られるテキスト・音声・画像といった多様なデータの分析に対しても、AIが活躍しています。

顧客体験の向上と業務効率化の両立がテーマとなっており、デジタルシフトが進む中でますます存在感を増しています【出典|Grand View Research】。

製造業においては、製品設計から品質管理、在庫や物流の最適化など、幅広い工程でAIが導入されています。

AIによる予測分析や故障検知が、ダウンタイムの削減や生産性の向上につながっており、企業の競争力強化に貢献しています【出典|Fortune Business Insights】。

ここまで、市場規模や業界ごとの活用事例を通して、AI業界が今後さらに成長が期待される分野であることを確認してきました。

将来性のある分野でキャリアを築きたいと考える方にとって、AI業界は非常に魅力的な選択肢となります。

ここからは、AI企業でどのような職種があるのかを見ていきましょう。

AIエンジニアは、人工知能の開発や活用に携わる技術職です。

機械学習やディープラーニング、自然言語処理などの技術を使い、サービスやプロダクト開発、業務効率化、データ分析などを行います。

役割は多岐にわたり、AIの企画から開発、学習データの準備、学習・評価・運用、さらには技術調査や研究活動までを含みます。

職種名としては、以下のようなバリエーションがあります:

・機械学習エンジニア
・データサイエンティスト
・アルゴリズムエンジニア

必要なスキルには以下が挙げられます:
・Pythonを中心としたプログラミング知識
・数学・統計・情報科学の基礎
・機械学習アルゴリズムの理解
・データベースやクラウドサービスの活用
・最新AI論文を読み解く力

AI企業の営業職では、技術的なソリューションを顧客の課題に応じて提案し、導入までをリードします。

主な業務には以下が含まれます:
・顧客のニーズヒアリング
・AIプロダクトやサービスの提案・デモンストレーション
・見積・契約交渉
・技術部門との連携やプロジェクトマネジメント

AIの専門性が高いため、営業であっても一定の技術理解が求められます。

また、顧客の業界や事業構造への理解が、提案の質を左右します。

企業のデジタル変革を支援する立場として、IT・AIコンサルタントの需要も高まっています。

ITコンサルタントは一般的なIT導入に関わるアドバイザーであり、AIコンサルタントはAI技術の導入・活用に特化したアドバイザーです。

戦略立案から実装支援まで担当範囲は広く、以下のようなスキルが重視されます:

・テクノロジーへの理解
・業務プロセスの分析力
・提案資料作成やファシリテーション
・顧客との信頼構築能力

AI企業の選考を受けるにあたり、以下のような対策が有効です。

基礎情報の整理
自身の経験や志向性、企業への関心といったベーシックな情報を整理しておきましょう。

経験を分解し、再現性を可視化する
これまでの業務経験をパーツに分けて、転職先でどのように活かせるかを言語化します。成功体験を再現できる設計図を描けると理想的です。

言語化スキルを磨く
多くのステークホルダーと協働するポジションでは、思考を整理し、的確に伝える力が重視されます。経験に裏打ちされた言葉で説明できるよう準備しましょう。

AI業界は今まさに成長の真っただ中にあり、世界市場は2024年に5,543億ドル規模に達すると見込まれています。

医療や自動運転、カスタマーサポートの自動化といった分野をはじめ、さまざまな業界で変革をもたらしており、今後もさらなる広がりが期待されます。

エンジニアの方にとっては最先端の技術に触れられる面白さがあり、ビジネス職の方にとっても事業インパクトの大きな領域として魅力を感じられるでしょう。

これまでご紹介してきた業界動向や職種ごとの特徴、面接対策のポイントなどを参考に、AI業界での新しいキャリアを検討してみてはいかがでしょうか。