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日本の著作権制度は、AI時代に追いつけるのか

2026.01.15

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日本の著作権制度は、AI時代に追いつけるのか

日本は「技術が遅れている」のではなく、
「制度を変えられない国」なのではないか───。

最近、生成AIと音楽をめぐる海外の動向を見て、
そんなことを強く感じました。

モルガンスタンレーの調査によると、
海外では18〜44歳のリスナーの半数近くが
AI生成の音楽を日常的に聴いているそうです。

問題点や摩擦も多く発生していますが、
その一方で、大手音楽企業やプラットフォームが
AIの積極活用へと舵を切ったというニュースも増えてきているとのこと。
(ソースは後掲)

こうした動きを見るにつけ、
日本における生成AIをめぐる議論の進捗は、
海外と比べてやや遅れているように感じます。

その理由は、制度設計があまりに堅牢であること、
そして利害関係者が多過ぎることにあるのではないでしょうか。

一例として、
日本では先日ようやく、カフェなどでのBGM利用に関して、
演奏者(実演家・歌手・アーティスト)にも
利益が分配されるよう制度が見直されることになりました。
(ソースは後掲)

えっ?今まで払われてなかったの?
という印象ですが、
これはJASRACの怠慢というよりも、
日本の著作権に関する法制度自体があまりに堅すぎて、
現実にそぐうようアップデートされてこなかった結果だと思っています。

もともと法律上、JASRACは、
作曲者や作詞者の権利を保護する団体と定められていて、
演奏者の権利を保護することは管轄外とされてしまっているんですね。

見方によっては「保護したくてもできない」状態だった。
これがようやく一歩前進した、というところでしょう。

では、なぜアップデートが遅れたのか?
それは、既存制度のもとで利益を享受してきた関係者が多く、
変化に対して及び腰だった、または変化を嫌ったということが理由だと思われます。

一般的に言って、
複雑すぎる制度は既得権益者とフリーライダーを生みやすいものです。
そして彼らが自らの利益を守るために、
さらに制度を複雑化させ、
結果として実社会に即した変化への対応を遅らせてしまう。
この構図は、国の制度に限らず、
企業組織の中でもしばしば目にする光景です。

生成AIの進化は、直線的ではなく加速度的です。
AIと著作権をめぐる議論も、
本来はもう待ったなしのはずなのですが、
日本の制度対応の遅さには、正直、心配を覚えずにいられません。

「シンプル・イズ・ベスト」。
これほど簡単で、かつ実践が難しいものはないのだなと、
改めて考えさせられました。

この言葉を、
あなたは今、どんな制度や組織に当てはめて考えますか。

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※本文中で触れた内容についてのニュースソース

【対象ニュース】
・「18〜44歳のアメリカ人リスナーの50〜60%がAI生成音楽を日常的に聴いている」という調査
https://gigazine.net/news/20260113-us-gen-z-millennials-listen-ai-music/

【参考URL】
・BGM使用料、歌手にも分配される方向へ(文化庁方針)
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6565613

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