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多くのハイクラス人材から転職先として人気を集めるコンサルタント。
このページを開いた方も、きっとコンサルタントへの転職に興味をお持ちかと存じます。
コンサルタントは、人気が高いだけあって転職のハードルが高い職種としても知られています。
それでは、コンサルタントへの転職を実現させるためには、どうすれば良いのでしょうか?
コンサルタントへの転職を実現するためには、なによりもまず「コンサルタントとは何か?」を徹底的に理解することが必要です。実際の面接でも「どういう仕事だと思いますか?」という質問がよく出ています。
本ページでは、コンサルタントへの転職を検討されている方向けに、「コンサルタント」と呼ばれる職業の定義・実態について解説しています。
コンサルタントの定義
「コンサルティング」と言う英単語にピタリと当てはまる日本語は無く、概念を丁寧に和訳すれば「何かしらの困りごとを解決するためのアドバイスを行うこと、そのお手伝いをすること」を指す、と言えます。それを行う者をコンサルタント、組織的にコンサルティングを行う企業をコンサルティングファームと呼びます。
マッキンゼーやボストンコンサルティンググループに代表される著名なコンサルティングファーム以外にも、「コンサルティング」を実施している企業は沢山存在しています。たとえば、医師は身体の不調を治療してくれるという意味で「困りごとを解決」していると言えますし、自動車ディーラーなども、車がなくて困っている人にとっては「困りごとを解決」してくれる存在と言えます。広義に捉えれば全ての企業がコンサルティングを行っている、と言えます。
しかし、一般の商業界でいわゆるコンサルティングファームと呼ばれる存在が行っているコンサルティングは若干狭義な概念であり、正確には「経営コンサルティング」、すなわち、「経営に関する」課題の解決をおこなっています。企業や組織が業績を向上させていく上では様々な課題に直面するのですが、それらに対し精密な分析、解決策・改善策の企画立案・提案、及び実行の支援・代行を行っていくのです。
経営課題とは?
それでは、経営に関する課題とは、一体どんなものでしょうか?
それらは、一言で言い表せない程極めて多種多様なのですが、代表的なものとしては以下のような事柄が挙げられるでしょう。
業務改善
組織の生産性や効率を向上させるためのプロセスや手法を見直し、コスト削減や運営効率の改善を図る。
財務経理関連
財務状況の分析を行い、収益性や資金繰りの改善、資金調達の支援、投資戦略の策定などをサポート。
営業・マーケティング関連
人事制度関連
組織の人材の採用、育成、評価、組織文化の改善など、人事面での課題解決を支援します。
IT関連
社内の情報を管理する基幹システムを取り入れることで、効率的な企業活動を可能にし、さらにそれを改善していく。
DX関連
電子契約システムや手書きデータのデジタル情報化を可能にするデバイス・アプリを取り入れることでオペレーショナルな日常業務の効率化・省人化を図る。
上記以外にもサプライチェーン網の効率化、災害発生時のリスク管理態勢の構築など、世の中には大変多くの経営課題が存在します。これらの課題の解決を担うのが、経営コンサルタントです。その知識・ノウハウや高い思考能力を用い、クライアントの自助努力だけでは解決出来ない経営課題を、企業外部のアドバイザー・ヘルパーと言う立場から、解決に導いていくのです。コンサルタントの役割は、経営者や管理職がより良い意思決定を行えるようにサポートすることです。
コンサルティングファームの業務範囲
実務におけるコンサルティングファームの業務内容はクライアント・業務内容によりまちまちです。もちろん経営課題解決が目的であるという一点においてはあらゆる業務が共通しているのですが、課題に対し解決策の提言だけを求められる場合もあれば、解決策の現場での実行担当者役を任されることもあります。課題の発見だけを求められることもあれば、将来発生しうる課題の予測を求められることもあります。
とある戦略系コンサルタントの方のお話では、企業重役から経営会議で提出するための新規事業案の作成のみを求められたことがあったそうです。ITシステムの構築ないし長期的な保守・運用部分まで担う場合もあります。
より具体的な業務内容
では、課題解決という仕事は、より具体的にはどのようなものなのでしょうか?
それはもちろん、クイズ番組で早押しするようなものではありません。大規模な人員動員や長期スケジュールを要するものが多く、ミーティングや指示出しとフィードバックの確認をなんども繰り返していくようなイメージになります。
以下では、あるIT系コンサルタントの業務を少し詳細に説明します。
クライアントとのミーティングやヒアリング
クライアント企業の経営陣やIT部門の担当者と会い、現状の課題やニーズを把握します。クライアントのビジネス目標や、ITを活用した解決策の検討が重要です。
分析と課題の特定
現状のITシステムや業務フローを分析し、改善すべき点を特定します。ここでは、システムのボトルネックやセキュリティ上の問題、効率化できるプロセスを洗い出します。
ソリューションの提案
課題に基づいて、システムの改善や新しいITソリューションの提案を行います。これは、クラウドの導入、ERPシステムの刷新、AIやデータ分析の活用などが含まれることがあります。
プロジェクトマネジメント
提案したソリューションの実装フェーズにおいて、プロジェクトのスケジュール管理やリソースの割り当てを行います。開発チームやベンダーとの調整、クライアントへの進捗報告なども重要な役割です。
システム設計・導入支援
新しいITシステムの設計を支援し、クライアントのインフラや業務に適したシステムの導入をサポートします。導入後はシステムの最適化や保守運用に関するアドバイスを行うこともあります。
教育とトレーニング
クライアントのスタッフが新しいシステムやツールを効率的に活用できるよう、トレーニングを実施します。ITの技術的なスキルだけでなく、業務フローの改善に関する教育も含まれます。
リサーチと最新技術のキャッチアップ
コンサルタントは、急速に進化する技術トレンドや業界のベストプラクティスを常に学び、クライアントに提供できる最新の知識を備える必要があります。例えば、クラウドコンピューティング、AI、IoT、ブロックチェーンなどの新しい技術に精通しておくことが求められます。
レポート作成と提案書の作成
クライアントや経営層に対して、現状の分析結果や改善提案のレポートを作成します。これには、定量的なデータ分析やコスト効果の試算が含まれることが一般的です。
これらの日常業務を通して、ITコンサルタントはクライアント企業の競争力向上や業務効率の向上をサポートします。
企業がコンサルタントを活用する理由
コンサルタントの歴史は古くありません。この職業を理解する上では、なぜこのような新しい職業が産まれてきたのか?という理由を知っておくことも重要です。成立の背景を知っておくことで業務イメージがより深まりますし、必要とされるスキルや面接対策も浮かびあがってきます。
コンサルタントが必要とされる理由としては、以下のような点が挙げられます。
社内にない知見を獲得・活用出来る
たとえば急な法改正など外的環境の変化があった場合、社内にそれを精確に理解し的確に対応出来る人材がいるとは限りません。また、新業種への進出や新商品開発など未経験領域にチャレンジする場合、そのノウハウを持つ人間は通常、社内にいません。いま話題のAIを活用した商品を作ろうと思っても、AIに詳しい人間がいなければどうしようもありません。
コンサルタントは様々な業界企業にサービス提供していますから、様々な業界のノウハウを持っています(知識が横に広いと言われる)。これらの知見・情報を得られる点が、まず大きなメリットとなります。
第三者機関の参画
企業と意思決定を行う上層機関には、どうしても社内政治やしがらみが存在し、合理的な経営判断が難しかったり「声の大きいものが勝つ」事態が発生したりします。解雇や降格のリスクを考えると言いたいことが言えない・・・という心情は避けられません。
しかし、コンサルタントは外部からの客観的な第三者の立場として企業経営に参加してきます。そのため、社内の前例や政治的なしがらみなどを排除してフラットな視点から意見を述べることができます。
経営者にとって、このような中立的な声は大変ありがたいものです。
一時的な人的リソースの補充
たとえば企業が企業を買収する際、買収先企業の従業員を再教育しリストラを進める必要が出てきます。これには大量の人員が必要とされる一方、期間は一時的です。企業としては、このようなニーズに対応する人材を雇用期限の定めのない正社員として雇うことには抵抗があります。
そのような場面において、優秀な人的資源を一時的に動員できるという点も、コンサルタントに依頼するメリットとなります。
コンサルティングファームの分類
現代におけるコンサルティングファームはマーケットとして市場が成熟しており、分化が進んでいます。
ファームごとに得意とする領域が違い個性がありますし、従業員として働くコンサルタントの業務内容にも大きな差があります。
よく「戦略系」・「IT系」・「総合系」などと区別されますが、このようなグルーピングは公的なものでなく、業界関係者が各企業群を区別分類する中でコモンセンスを獲得し慣用的に成立していったものです。これらの単純なラベリングだけで各社の個性や特徴を正確に把握することは出来ませんが、だいたいの傾向・方向性を掴む上では有用な視点となるでしょう。
ただ、上述の通り、公的な分類が存在している訳では無いので、人によってグルーピングはバラバラです。とりあえずは大枠となる戦略コンサルティング、業務コンサルティング、ITコンサルティングの三種を理解しておくと良いでしょう。
これら三種は、主に取り扱う業務領域により区別されます。多種多様な経営課題の中で、主にどんな領域の課題を取り扱うか?による区別です。
なお、どのタイプのコンサルであっても、上述の仕事の流れは大きく変わりません。
戦略コンサル
経営全体の長期的なビジネス戦略を提案し、企業の成長を目指すコンサルタント。
企業全体の長期的な成長や競争力強化を目指して、経営レベルの意思決定を支援します。具体的な業務としては、市場や競合の分析、新規事業開発やM&Aの計画策定、企業の成長戦略やコスト削減戦略の提案、グローバル戦略やデジタルトランスフォーメーションのロードマップ策定などです。
戦略コンサルタントは、経営陣をカウンターパートにし、広範囲にわたるビジネス戦略の提案を行い、企業全体の方向性や意思決定を支える役割を果たします。求められる責任が重大で、市場環境の変化や競争の激化に対応する必要もあるため、高い情報収集能力や分析能力、長期的視点でのアドバイスが求められます。
業務コンサル
企業の内部プロセスやオペレーションを効率化し、日常業務の改善を図るコンサルタント。
企業の日常業務やオペレーションを効率化し、生産性やコストパフォーマンスを向上させることを目的とします。具体的な業務は、業務フローの改善や最適化、人材配置やチーム構成の見直し、生産性向上のためのツール導入やプロセス標準化、物流やサプライチェーン管理の最適化などです。
通常、「人事コンサルタント」「物流コンサルタント」など、業務コンサルの中でも得意領域によって更に細かい分類がなされています。
業務コンサルタントは、現場レベルでの改善を行うことが多く、上層陣とも現場ともコミュニケーションを取り、両者の橋渡し役となることが多いです。
ITコンサル
技術的なソリューションやITインフラを活用して、企業の競争力や効率性を向上させるタイプのコンサルタント。
主に企業活動を円滑化させるためのITインフラやシステムを整備することを目的とします。
具体的な業務としては、IT戦略の立案と実施、新しいシステム導入(ERP、CRMなど)の計画と実装、クラウドサービスやデータ分析の活用方法の提案、サイバーセキュリティ対策の強化などがあります。IT人材育成の支援を行うこともあります。
なお、ここでは「IT」とひとくくりにしていますが、実際にはパッケージ導入コンサルタントやデータ関連を専門とするコンサルタント、金融機関向けの汎用システムの開発を専門とするコンサルタントなど、「IT」の中にも細かい分類が存在します。 ITコンサルタントは業務効率化にも資するのでその点では業務コンサルと同じ性格を有しますが、技術的な知識を基盤とする点が大きな差であると言えます。最新の技術トレンドをキャッチアップする努力が求められます。
まとめ
コンサルタントの定義について解説をしてきました。曖昧な意味合いで使われることの多い「コンサルタント」という言葉。ご自身が目指す「コンサルタント」の定義はしっかりと抑えておく必要があるでしょう。
もしより詳細な情報を希望される方は、ぜひ弊社コンサルタントにご相談ください。しっかりと支援させて頂きます。