「辞めてから転職」は危険?無職での転職活動が招く落とし穴
1. 辞めてから次を探す?
現在のお仕事に悩みを抱えている方の中には、
「このまま働き続けながら転職活動をするのは、あまりに大変だ。
いっそ先に退職して、時間的な余裕を作ってから次を探した方が良いのではないか」
とお考えになる方もいらっしゃるでしょう。
特に、40代以降で実務経験を着実に積み重ねてきた方ほど、
「一度リセットした方が、かえって整理できるのではないか」
と考えてしまいやすい傾向があります。
確かに、日々の業務をこなしながらの転職活動は時間的にも精神的にも大きな負担です。
しかし結論から申し上げると、
「転職先が決まる前に会社を辞める」という選択には、想像以上に大きなリスクが伴うので、現実的には、あまりお勧めできる進め方ではありません。
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2. 無職の状態での転職活動が不利になる理由
具体的には、以下のような点が挙げられます。
(1)採用企業にあらぬ疑念を抱かせてしまう
無職であること自体が、即座にマイナス評価になるわけではありません。
ただし、「なぜ次が決まる前に退職したのか」「現職で問題が起きたのではないか」
といった点は、どの会社の選考の場で必ず確認されるものです。
この点、次の職場が決まらないまま退職しているという事実は、採用担当者に対し、
「解雇やトラブルがあったから辞めたのではないか?」という疑念を抱かせてしまいやすいのです。
さらに、運悪く次が決まらず、離職期間が長くなってしまうと、「他の企業が採用しなかったから長期化しているのだろうから、きっとあまり質の良くない求職者なのだろう」という印象を与えることにもなります。
こうした判断は、履歴書や職務経歴書といったテキスト情報だけで行われてしまうため、どれほど合理的な理由があっても、弁明の機会すら与えられないのです。
その結果、面接に進むことすら難しくなってしまうのです。
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(2)金銭的・精神的な焦りが判断を鈍らせる
収入が途絶えることで、人は想像以上に精神的なプレッシャーを受けます。
「早く決めなければならない」という焦りから、本来望んでいた条件や働き方を妥協し、
違和感を抱えたまま入社を決めてしまうケースも珍しくありません。
転職は「選ぶ行為」であるはずが、いつの間にか「決めなければならない行為」に変わってしまう。
これは、無職期間に入った方が陥りやすい状態です。
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(3)在職しながら活動しているだけでプラス評価になる。
また、企業側・採用側は、在職中であること自体をプラスに評価します。
これは、現職に在籍しながら活動している方は、離職されている方と比較して「自己管理能力や計画性がある」と評価されやすいからです。
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3. 「失業手当」「職業訓練」に頼るべきか?
退職を検討している方の中には、「失業手当を受けながら職業訓練を受講すれば良い」
と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、失業手当には待機期間があり、退職後すぐに支給が始まるわけではありません。
少なくとも数か月は、無収入の状態が続くことになります。
また、職業訓練で得られるスキルの多くは、現職に在籍したままでも習得可能な内容です。
そのため、「職業訓練を受けたからスキルがプラスされ、書類選考で有利になる」といった効果は、正直なところ期待しづらいのが実態です。
ハローワークから紹介される求人についても、条件やポジションの面でハイキャリア層に合致する案件は多くありません。
結果として、思い描いていた「余裕のある転職活動」とは、かけ離れた状況に陥ることもあります。
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4. 例外として考えるべきケース
もちろん、すべてのケースで「先に辞めること」が絶対に不利になるわけではありません。
高度な専門性を持ち、市場価値が明確で、複数の企業から常に声がかかるような方であれば、一定期間の離職が問題にならない場合もあります。
ただし、「自分が本当にその立場にあるのか」を冷静に判断することは極めて難しいです。
ここを見誤ってしまう方が多くいらっしゃるのも事実です。
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5. 「休職」という現実的な選択肢
もっとも、長時間労働やハラスメントなどにより心身の健康に影響が出ている場合には、無理を続ける必要はありません。
ただ、その際であっても、いきなり退職するのではなく、
医師の診断を受けたうえで「休職」という選択肢を検討すべきです。
心身の健康は、すべての土台です。
無理に我慢を続ける必要はありませんが、冷静に状況を整えたうえで次のステップへ進む方が、将来的な後悔は少なくなります。
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6. 結論:在職中に転職先を決めるべき
ここまで述べてきた通り、
仮に職場に不満があるとしても「まず退職してから次を探す」という選択はあまりお勧め出来ません。
「次の転職先を見つけてから退職する」という進め方の方が堅実です。
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7. 逃げでは無い
ただ、誤解していただきたくないのは、退職は「逃げ」ではない、ということです。
仕事にしろ人間にしろ、合わないものは合わないのです。
無理に自分をねじ曲げる必要はありません。
むしろ、自らのキャリアを見直し、より良い職場環境を求めて行動することは、前向きな選択と言えるでしょう。
進め方の問題として、転職先を確保せずに退職するのは避けるべきだ、というだけです。
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8. 最後に
「会社を辞めたい」という気持ちが高まったとき、人は人は視野が狭くなりがちで、衝動的な行動をしてしまいやすいです。
しかし、そんなときこそ一歩立ち止まり、「それは本当に自分にとってベストな選択なのか?」を見つめ直してみてください。
転職は、人生に大きな影響を与えてしまうイベントです。
だからこそ、だからこそ、衝動ではなく、準備と理解をもって進めることが、最終的に自分自身を守ることにつながります。
キャリアに迷いが生じた際は、信頼できる第三者に相談することも、一つの選択肢です。
客観的な視点が、新たな気づきをもたらしてくれるかも知れません。



