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コラム

【転職体験談】40代の転職活動の実態。

2025.10.17

転職体験談

40代に入ると、仕事にも家庭にもある程度の基盤ができる一方で、
「このままでいいのだろうか」と自分のキャリアを見つめ直す人が増えてきます。

特に女性の場合、育児やライフイベントの影響で働き方を変えざるを得なかったり、
「年齢の壁」を感じて転職をためらってしまうケースも少なくありません。

今回は、41歳で再び正社員として復帰したN.Oさんの実体験を通じて、
40代の転職活動のリアルをお伝えします。

【プロフィール】
名前: N.Oさん
転職時の年齢: 41歳
現職: 日系ヘルスケア用品メーカー マーケティング職
家族構成: 夫、子ども2人

私は新卒で大手外資系日用品メーカーに入社し、マーケティング職として17年間勤務していました。
一人目の育休明けに復職しましたが、朝7時に保育園に送り、深夜まで仕事をする日々。
思うように成果が出せず、部下をまとめる責任の重さにも押しつぶされそうでした。
そんな中で二人目を妊娠。
「今の働き方では、子どもと自分を両方守れない」と感じて退職を決意しました。

退職後は元上司の紹介で業務委託として働くことになり、育児と両立できる柔軟なペースを確保。
「社会との接点を持ちながら、自分のペースで働ける」
——それが当時の私にとって理想の形でした。

しかし、ある日転機が訪れました。
個人的な知り合いだったキャリア・リエゾン・パートナーズのエージェントさんから、
「日系の中堅ヘルスケア企業でマーケティング系ポストのポジションが空いたので、
正社員として就職しないか」と声をかけていただいたのです。

正社員のオファーを受けたとき、最初に頭をよぎったのはやはり、
「本当に両立できるのか」という不安でした。一社目を退職した理由はまさにそこにあったからです。

でも、エージェントさんからのアドバイスで考え方が変わりました。
「一度やってみて、合わなければ辞めればいい」
「今の時代、骨を埋める会社を探す必要なんてない」
その言葉に救われた気がして、オファーを受けることにしました。

振り返って見て思うのですが、ですが、
40代の転職は20代・30代のような“全力疾走”ではなく、「柔軟さ」が大切だと思います。
無理にキャリアアップや貢献出来るかを考える必要は無いのです。

私の場合も、フリーランスの毎日に慣れていたので正社員に戻ることは大きなチャレンジでしたし、
迷惑をかけるのではないかと抵抗を感じましたが、
「完璧でなくていい」「試してみよう」という軽やかな発想が背中を押してくれて、
それが結果的に上手く行ったと思います。

もし若手と同じように可能な限り貢献しようと考えて居たら、
上手く行かなかったのではないでしょうか。

復帰後は、メーカーでマーケティングメンバーとして勤務しています。
以前はマネージャーでしたからタイトルはダウンしていますが、その分レスポンシビリティは軽減されたので、
今の自分には丁度良いと感じて居ます。
勤務時間は10時〜18時半が基本ですが、リモートワークも取り入れながら柔軟に働いています。
以前の就職時と比較して世の中全体がリモートワークに寛容になった気がしますが、正直助かりました。

家庭では、夫と家事分担を見直しました。私が送迎を担当し、夫はお弁当づくりを担当。
以前は「夫の仕事の邪魔をしてはいけない」と一人で抱え込んでいましたが、
今は家族全体でバランスを取りながら動く「チーム運営」に変わりました。
この点でも柔軟な考え方ができるようになったなぁと思います。

夏休みは予定のパズルのような毎日。
上の子の送り迎えと下の子の予定を組み合わせ、
夜にPCを開いて仕事を進めることもあります。
でも、家族のサポートもあって、今は以前よりもずっと健全に働けていると感じます。

年収面では、結局、以前よりも高い年収を頂くことが出来ています。

今回の転職において私が強く意識したのは、「遠慮しないこと」です。
子どもがいるから、家庭があるからといって、働き方や年収に関し妥協する必要はありません。
働かせてもらっているという立場ではありますが、
会社側も私を必要としてくれているからオファーを下さっているのであり、
変に下手に出る必要はないと思いました。
「自分が提供できる価値」を明確に伝え、「それに見合う条件」を堂々と交渉する。
これが、40代転職の大切なポイントだと思います。

私も、実は当初はマネージャーポジションを打診されたのですが、
WLBを大事にしたいという点を強く主張した結果、
メンバーポジションで採用いただくことが出来ました。
結果として業務負担が減ってハッピーになったと感じて居ます。

今はどの業界でも人手不足が深刻です。
40代であっても即戦力人材のニーズは高く、交渉に前向きな企業も増えています。
多少強気に出ても、本当に欲しい人材であれば、企業側はしっかり受け入れてくれるはずです。

正社員に戻ってから改めて感じたのは、「チームの一員として働く喜び」でした。
フリーランス時代には感じにくかった一体感や達成感が、
今では大きなモチベーションになっています。

もちろん、40代の転職は不安もありました。
でも、これまで培った経験・スキル・人脈がある分、
20代・30代よりもむしろ有利に動ける部分も多いと思います。
合わなければ辞めればいい。何度だってやり直せる。
そう考えるだけで、転職活動はぐっと楽になるのではないでしょうか。

今は「40代だからこそ、挑戦できる」時代。
私自身も、もう一度キャリアを築くことで、自信と充実感を取り戻せました。

「40代の転職は難しい」と言われることがありますが、
実際には、チャンスは思っていた以上に多いと感じます。
私もそう考えて居ましたが、思いがけずオファーを頂けましたし、あっさりと再就職できました。
気づかないだけで、意外とニーズはあるものなのですね。

また、世の中も変わっています。
働き方の多様化が進み、リモート勤務や時短制度など、
子育て世代にも優しい環境が整いつつあり、仕事に全てを捧げる的な働き方は求められなくなっています。
このことも40代人材にとって有利な事情だと思います。

40代の転職は、“我慢”でも“妥協”でもなく、“再設計”のタイミング。
これまでの経験を活かして、今の自分に合った働き方を探せる年代です。
もし今、「もう一度キャリアを築きたい」と思っているなら、恐れず一歩踏み出してみてください。
私のように、再スタートから新しい人生が始まることもあります。