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生成AIの浸透がもたらす「コードを書く機会」の変化とその影響

2024.12.16

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生成AIの進化により、システム開発のあり方が急速に変化しています。これまでシステムの内製化を進めるうえで障壁となっていたのは、プログラミングスキルを持つ人材の不足でした。しかし、生成AIの普及がその問題を解決しつつあり、企業の内製化の動きに大きな影響を与えています。

多くの企業では、システム開発や保守運用を外部のSIer(システムインテグレーター)やITコンサルティング会社に依存してきました。その背景には、プログラミングスキルを持つエンジニアの採用や育成の難しさがありました。特に中小企業では、専門的な技術力を持つ人材を確保するのが困難であり、システム内製化を進めたくても一歩を踏み出せない状況が続いていました。

生成AIはこの課題に対する解決策として注目されています。AIによるコード生成ツールは、非エンジニアでも自然言語で要件を入力するだけで、プログラムを自動生成する能力を持っています。この技術により、プログラミング未経験者でもアプリケーション開発が可能になり、技術的な壁が劇的に下がりました。

例えば、Webアプリケーションの構築や業務自動化ツールの作成が、従来であれば専門的な知識を持つエンジニアの手に委ねられていましたが、生成AIを活用すれば業務部門の担当者が自ら開発を進めることができるようになります。

このような動きは、SIerやITコンサルティング会社の需要に大きな影響を及ぼす可能性があります。これまで企業が外部に依存していた理由のひとつは、高度な技術力を補完するためでした。しかし、生成AIの普及によって、企業内での開発が容易になれば、外部の支援が必須ではなくなります。

もちろん、大規模なシステム設計や複雑なインフラ構築では、依然として専門知識が必要です。しかし、日常的な業務アプリケーションの開発や小規模な改善案件では、生成AIを活用した内製化が進むことで、外部依存が大幅に減少する可能性があります。

一方で、生成AIの導入は「人間の仕事が不要になる」というわけではありません。生成AIを効果的に活用するには、AIが生成したコードを検証・最適化し、要件に合わせて調整できるスキルが求められます。こうした新しいスキルを持つ人材が重要になる中で、IT業界の人材育成やキャリアの在り方も再定義されていくでしょう。

生成AIの浸透は、「人間がコードを書く機会」を減少させるだけでなく、システム開発の内製化を促進し、IT業界全体に大きな変化をもたらしています。企業にとっては、コスト削減や柔軟な開発体制の構築が期待される一方で、SIerやITコンサルティング業界にとっては新たな挑戦となるでしょう。この変化を前向きに捉え、生成AIを活用した新たな価値創出を模索していくことが求められています。